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世界的なパンデミックの初期、世界中が不安定な状況に陥りましたが、当社の事業も同様でした。私たちは親会社からのスピンオフの準備をしており、わずか数カ月後に完了を控えていました。期待に胸が躍るような刺激的な日々でした。しかし同時に、不安もありました。
新たな戦略と投資テーゼが導入され、新しいCEOが着任しました。私はスピンオフにより新たに誕生する会社のトップに指名されましたが、トップとして私がなすべきことは明らかでした。この業界がかつて経験したことのないような不透明な経営環境の中で、この駆け出しのこの会社を成功に導くことです。
数々の未知の要素がある中、最良の打ち手は何か。成功するためには、全社が新しいビジョンに合意し、最初から力を合わせる必要がありました。
エグゼクティブ・チームのパフォーマンスが鍵を握っていることを私はわかっていました。会社を新しい未来に導く私を支え、トップとして正しい姿勢を示し、新たな文化的アイデンティティの形成を促す役割を担うのがエグゼクティブ・チームです。彼ら全員が、この大きな転換期に対応し、前進するために必要なものを備えていることを確認したかったのです。
具体的な問題があったわけではありません。私は引き継いだエグゼクティブ・チームを尊重し、信頼していました。しかし、まったく新たな領域に入ったことも事実でした。成功しなければならないというプレッシャーがありました。しかも、チームとして成功しなければなりませんでした。
当社のリーダーシップの強みを客観的に理解し、改善すべき領域を特定するのには、外部のパートナーのサポートを得るのが最善の方法だという点で、取締役会、CHRO(最高人事責任者)、そして私の考えは一致していました。
私はそれまで付き合いのあったファームを候補として考えていたのですが、信頼できるアドバイザーからRRAのことを聞きました。そのアドバイザーの会社では、エグゼクティブの評価と育成をRRAに依頼し、すばらしい成果を得られたというのです。
長年にわたりさまざまなリーダーシップ・アドバイザーと接していると、彼らがどのような人で、どのように業務を進めるのかがわかってきます。しかし、ピッチミーティングで、RRAが群を抜いていました。
RRAが提供するアドバイスの幅広さに感心しました。彼らは、個々のCxOが適切なスキルを備えているか、どのようにエグゼクティブ・チームを一体化するか、当社の文化の特徴、後継者計画戦略などのさまざまな事項において、分析することができました。
つまり、当社で何が上手くいっていて、何が上手くいっていないのかの全体像を明らかにし、あるべき姿へのロードマップを掲示してくれました。これは完全にエンド・ツー・エンドのパートナーシップです。私はRRAに強い関心をもちました。
リーダーシップ・アドバイザリー・ファームはいくつかあり、それぞれに長所と短所があります。ここでは、パートナーを見極める際に役立つヒントをいくつかご紹介します。
1.率直で誠実な人を選ぶ
とりわけ、特に、組織の未来を左右するようなリーダーシップの選定においては、率直なフィードバックを恐れるアドバイザーは避けるべきです。リーダーシップ・アドバイザリー・ファームを選ぶ際には、物事について真実を伝えることをためらわない企業を選ぶべきです。時には難しい真実であっても、その真実を受け入れる柔軟性があり、遠慮せずに意見を述べることができるパートナーが望ましいです。
2.自社と自社のニーズ、または類似した企業や状況に精通しているアドバイザーを選ぶ
優れたアドバイザリー・パートナーは、社内の働き方や特有のニーズについて一定程度の理解を持っています。これは以前の取引がある場合には容易ですが、新しいパートナーを選ぶ際にも重要です。会社組織の内部事情や歴史、文化を理解しようとするチームは、そうでないチームよりも適切なパートナーとなる可能性が高いです。
また、企業はそれぞれ異なりますが、共通点も存在します。関連する業界や企業に詳しいアドバイザリー・パートナーは、より適切に自社をサポートし、自社のニーズに効果的に対応できるでしょう。
3.主なステークホルダーが知っている、評判のよい企業を選ぶ
長期的かつ集中的なプロセス、例えばサクセッション・プラニングにおいては、主要なステークホルダーの支持を得ることが不可欠です。アドバイザリー・パートナーのブランドや評判に精通しているステークホルダーは、簡単にその支持を獲得できるでしょう。したがって、ステークホルダーが認識し、信頼している企業を選ぶことが重要です。
RRAはプロジェクトを始めるにあたって、当社の戦略、組織、現在と将来において必要とするリーダーについてより詳しく理解するため、主なステークホルダーとの面談に1カ月を費やしました。
これが1年半に及ぶプロジェクトの土台になりました。プロジェクトは3つのコア・フェーズに分かれていました。
RRAは最初に、私とCHROと共に経営幹部のプロファイルを作成しました。このプロセスを通じて、各CxOが現在の成果を達成するために必要な具体的なスキル、性格特性、および経験が明確になりました。
その後、会社としての計画の作成を通じて、各CxOの長期的戦略目標の達成に必要な、リーダーシップ開発についても検討しました。
どのような状況であれ、将来を予測することは難しいものです。しかし、RRAはこの業界の他企業にアドバイザリーを行った経験があるため、その経験を通じて、求められるスキルや同業他社の経営幹部の性格特性について私たちが理解できるようにサポートしてくれました。
リーダー・プロファイルに合意した後、当社のエグゼクティブがどの程度合致しているか理解するという段階に進みました。各部門のリーダーが、ワークショップ、心理学者やマーケット・アドバイザーとの1対1の綿密な1 on 1、360度リファレンスを含む厳密なアセスメントを受けました。
それはすばらしい取り組みでした。RRAはプロセスを通して、経営陣のパフォーマンスの評価に科学的手法を適用して、よいエグゼクティブと卓越したエグゼクティブとの違いをはっきりと示しました。結果、当社の経営陣が成功に向けてどの程度準備が整っているかを確実に理解できるようにしました。
全ての企業は、独自の経営陣プロファイルを構築すべきです。各企業は個々に異なる特性を有しており、共通の要素は存在するものの、その中にも差異が見られます。ある企業で成功を収めたCxOが、別の企業で同じ成果を上げるとは限りません。
必要なスキルの中には、状況に大きく左右されるものがあります。たとえば、財務面で困難な状況ある企業やM&Aが進行中の企業、戦略と方向性を転換しようとしている企業では、経営幹部のプロファイルがそれらの状況を反映する必要があるでしょう。このような事例では、恐らく、企業が直面している課題を対処した実績のある候補者を迎え入れたいと考えるでしょう。
しかし、リーダーシップ・チームにはいくつかの普遍的な特性があります。
親会社からスピンオフするということは、次世代の経営幹部のパイプラインの構築をゼロから始めなければならないということでした。当社は明確な後継計画を必要としていました。
RRAのサポートを得て、当社は経営幹部および価値向上を担う重要な職務を役割とする人材ベンチの形成に取り組みました。エグゼクティブ・アセスメント・プロセスを経た私たちは、後継者についての明確なヒートマップ、個々のリーダーシップ開発計画、そして優先的に企業全体のリーダーシップ・ギャップに対処することを目的とした人材戦略を確保しました。
私たちは当社の組織文化の状態を正確に把握し、うまく機能していることとそうではないことを見極めたいと考えました。以前エンゲージメント調査を実施しましたが、その結果が必ずしも実際の状況を明確に反映しませんでした。RRAは異なるアプローチを提案しました。彼らはカルチャー・イメージング診断を行い、経営陣が聞きたいと考えていることではなく、社員が実際に考えていることを明らかにしたのです。
この作業の結果は組織全体の信念と行動を正確に理解するための「文化のMRI」でした。何が当社のビジョン実現に寄与しているのか、何が妨げとなっているのかを把握することができました。
年半のプロセスを終えて、私はRRAが最初に私たちに話した「これは長期的な戦略的プロセスであり、時には私たちに挑戦し、異なる考えを突きつけることになるだろう」という言葉がいかに正しかったかを実感しました。
RRAのエグゼクティブ・アセスメントは私がこれまで見てきた中で最も優れたものであり、結果の説明もわかりやすく腹落ちするものでした。改善点を当事者に説明することは決して容易ではありません。しかし、RRAは結果報告の際のフィードバックに細心の配慮で臨みました。結果全員がそのプロセスに参加し、各自の能力向上に熱意をもって踏み出しました。
当社の企業文化に関して言えば、会社の将来をより明確にし、社員全員が目的に沿って一致団結できるよう、エグゼクティブ・リーダーシップ・チームはさらに力を注ぐ必要があることがわかりました。これには、イノベーションとアジリティの文化の醸成や、どのように競争上の差別化を進めていくのかを社員に伝えることなどです。
CEOにとって、自社のエグゼクティブ・チームと企業文化の強みと限界を知ることほどすばらしいことはありません。そのおかげで、私たちは最高の力を発揮し、戦略的ビジョンを実現するために必要な準備が整っているという確信を得ることが出来ました。