社外からリーダーを採用することは、意欲的な従業員に対して「ここでの昇進の選択肢は限られている」というメッセージを送ることになります。そして、その影響は、優秀な社員を失うという痛手にとどまらず、最終的な収益にも影響します。
将来的なキャリア形成の機会を失うことによる離職は、金銭的なインパクトと経験やスキルの喪失の両面から、大きな代償を伴います。また、その社員が組織内の有力なリーダーや人物、つまり期待の新星や経営陣、CxOである場合、そのコストは飛躍的に増大します。
取締役会が新CEOを探す際に、社内の人材を見落とす理由はいくつかあります。例えば、変化や変革の取り組みは、外部の人材が主導するのが最善であるという考え方が一般的であることです。
外部の候補者は、多様な知識と経験が豊富で、既存の感情的なつながりがないため、より効果的であると見なされることがよくあります。 特に後者の場合、既存の人間関係や今まで投資してきたことによって思考が左右されることがないため、より困難な戦略面・人材面での決断を下せる可能性があるのです。
また、外部の候補者は、過去の実績が明確であるため、「あの会社で活躍したのだから、うちでも活躍してくれるに違いない!」と、比較的安全な賭けとみなされるかもしれません。(もちろん、同じ会社は二つとないし、「過去の実績は将来の結果を示すものではない」のですが。)
しかし、長所を挙げれば、必ず短所も出てきます。
取締役会が意図しているかどうかにかかわらず、重要な役職に外部から採用することは、強いメッセージを送ることになります。それは、取締役会が社内の候補者に十分な自信を持っていないこと、あるいは抜本的な方向転換が必要だと考えていることを意味しています。
社外の人材を優先させると、以下のような結果になることがあります。
もちろん、変革に問題があるわけではありません。歴史的な傾向から見ても、何十年にもわたって破壊的なテクノロジーやゴールポストが変化する中で一貫して繁栄してきた企業は、方向転換して新しいビジネスパラダイムに適応することができる(そして、それを望む)企業であることを示しています。
しかし、変革の必要性があるからといって、外部のリーダーを連れてくる必要はありません。 実際、企業は多くの場合、社内のチェンジメーカー、つまり「既成概念に囚われない(outside-thinkingの)インサイダー」によって、最高の成果を上げることができるのです。
組織の内部から変化を起こすのは難しい、それは事実です。「いつも決まった方法で行われてきた」場合には、その難度は増します。
しかし、組織内には常に先見の明のある人々(ビジョナリー)が存在します。より良い変化への期待に胸を膨らませ、それを実現しようとする人たちです。彼らは、物事をどのように改善できるかというビジョンを持ち、それを実現するための意志と意欲を持ち、潮流を把握し、変化するベストプラクティスやイデオロギーの変化の先を行く人たちなのです。
これらは貴社内ののチェンジメーカーです。 既成概念に囚われないインサイダーです。
彼らはすでに権限を有しているかもしれませんし、社内の期待の新星かもしれません。チャンスさえあれば、彼らは組織を変えることができます。 そして、既存の人間関係と確立された評判により、外部からの採用よりもステークホルダーを味方につやすい場合が多いのです。
また、既成概念に囚われないインサイダーは、企業文化のニュアンス、ビジネスモデル、そして、どこから変化を起こせばよいかを理解する必要がないため、迅速に効果を発揮する可能性が高くなります。また、既成概念に囚われない既存のCxOたちは、組織がどこで変化を試す余裕があるかをよりよく理解しています。すなわち、組織のどこで収益が上がっているかを把握しており、真の長期的な変革に向けて資金を確保するために、プロセス全体を通じて何を守るべきかを知っているのです。
では、どのようにすれば、このようなスーパースターを見つけ、支援することができるのでしょうか。
それは、優秀な人材を探し出し、育成するための社内の人材開発・育成プロセスを整備することから始まります。そのためには、CEOの後継者計画を導入することが有効です。明確な後継者計画のプロセスを持つことは、会社が従業員とそのキャリアに投資し、明確な方向に向かっているというメッセージを送ることになります。
また、会社を成功に導き、予期せぬ波乱から会社を守ることにもつながります。サクセッション・プランニングを行うことで、突然の経営陣の交代の必要性が生じた場合でも、会社は選択肢を用意しておくことができるのです。
今後複数年間、組織を支える CEO の後継者計画を効果的に作成するためには、以下のことが必要です。